オペレーション・ナイチンゲール

2026年6月23日、トッド・ブランシュ司法長官代行が衝撃的な数字を発表しました。全国医療詐欺一斉摘発の一環として、総額65億ドル以上に上る医療詐欺事件に関与したとして、医療従事者90人を含む455人が起訴されたのです。65億ドル―日本円にすれば約1兆円規模。すべて国民の血税から支払われた医療費です。

しかし、金額の大きさ以上に背筋が凍る別の詐欺事件がありました。

カーリーン・ノレウスという女性が、南フロリダで大規模な学位販売詐欺を運営していました。その手口はこうです。必要な研修を一切修了していない人々に対し、偽の看護学位を販売する。7年間にわたり、発行された偽の学位は約3,000通。総額約2,500万ドル(約40億円)。つまり、お金さえ払えば「看護学校を卒業した」という証明書が手に入る仕組みが、何年も機能していたのです。この詐欺は、連邦政府による大規模捜査「オペレーション・ナイチンゲール」の一環として発覚しました。

そして最も恐ろしいのは、ここからです。

偽の学位を購入した「卒業生」のうち、2,200人以上が看護師免許試験(NCLEX)に合格し、正規の看護師として全米各地の病院で実際に勤務していたのです。

免許の根拠となる教育が存在せず、臨床経験が圧倒的に不足しているのにそれでも試験に受かり、白衣を着て、点滴を打ち、薬を投与し、容体の変化を判断するというのは怖くないですか? ノレウスが偽の看護学位を販売した学生の一人は、数回のパートタイム授業を受けただけで2021年初めにNCLEXに合格。2023年にセントルイスの病院で患者の心房細動を適時に認識できず、担当医への報告も怠り、患者が死亡する事態に「寄与した」とされています。

もしこの事件が氷山の一角だとしたら。。。

今この瞬間も、十分な訓練を受けていない「看護師」が、どこかの病院で患者のケアにあたっているかもしれません。しかし私たち患者には、目の前の看護師が本物かどうかを確かめる術がありません。「気をつけましょう」と言いたいところですが、気をつけようがない。それこそが、この事件の本当の恐ろしさです。

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