
水分は美しい肌の重要な要素の1つです。 乾燥肌は私たちの敵であり、私たちは常に肌に完璧な潤いを与える製品を探しています。そこで潤いに必要なスキンケア成分がセラミドです。セラミドは、肌の自然なバリアが水分を保持するのを助ける脂質(脂肪分子)です。セラミドは私たちの肌の表皮の角質層の中にある「保湿因子」で、細胞間脂質の50%以上の組成を占めています。紫外線や摩擦、ウイルスや細菌などの外部刺激から私たちの肌を守り、肌内部の潤いを逃さない “バリア機能”という大切な役割をもっています。しかし、その同じ脂肪分子が糖尿病の原因の重要なカギと言われているのです。
肥満ではないのに2型糖尿病を持っている人がいて、逆にどこからみても肥満と思われる人が健康体だったりします。肥満は2型糖尿病の危険因子ですが、近年の研究ではセラミドが病気を引き起こす可能性があることを示唆しています。
セラミドは、お肌の潤いに大切な成分であるだけでなく、細胞膜の完全性、細胞ストレス応答、炎症性シグナル伝達、アポトーシスにおいて中心的な役割を果たす複雑な脂質です。セラミドの利点の1つは、細胞を保護することです。 細胞がたくさんの脂肪を蓄えているとき、セラミドレベルの増加は細胞の外膜を強化し、破裂を防ぎます。またセラミドは進化して栄養センサーとなり、細胞に入る脂肪の量がエネルギーの必要量と貯蔵容量を超えた時の対処を助けてくれます。
しかし、ユタ大学栄養統合生理学部のスコット・サマーズ博士が率いる研究では、セラミドの蓄積により実験に使われたねずみの脂肪組織が正常に機能するのを損なうことを示しました。 この研究の筆頭著者であるスコットサマーズ博士は「セラミドの蓄積は体のインスリン反応およびカロリー燃焼も鈍くなる。」と言います。
食べた後の余分な脂肪は、中性脂肪として体内に蓄積したり、エネルギーのために燃やしたりすることができます。 しかし、一部の人々では、それらの脂肪はセラミドに変換されてしまいます。 サマーズ博士はセラミドがどれだけあるかだけでなく、どこにあるかということが問題であると付け加えました。心臓や代謝性疾患に苦しんでいるとしたら、血管や心臓を含む多くの組織にセラミドが蓄積されている傾向があるのです。蓄積されたセラミドは、生成または使用できるインスリンの量を減らし、細胞がエネルギーを生成する方法を害し、線維症を引き起こし、また細胞死を引き起こす可能性があると言われています。
つまり、セラミドレベルが高すぎると、インスリン抵抗性、2型糖尿病、心臓病につながる可能性があるというのです。そして重要なことに、研究者はねずみのセラミドの生成をブロックすると、これらすべての病気の発症を防ぐことを確認しました。逆に、彼らはまた、脂肪組織にセラミドが少ないねずみは、糖尿病の最初の兆候であるインスリン抵抗性から保護されていることを発見しました。
サマーズ博士は、肥満率が比較的低いにもかかわらず、一部のアジア諸国は米国よりも糖尿病率が高いというのは身体がなぜか食事から摂取した脂肪にうまく対処するようになっていないからだと見解しています。たくさんの量を食べても、すべての脂肪を効果的に蓄えて健康を維持する人もいるので、どれだけ食べるかが問題ではないとも述べています。
どうしてセラミドが蓄積されてしまうのかは解明できていませんが、この研究および他の関連する研究によるとあなたが何を食べ、どのように食べるかが重要であるように思います。 どんな種類の脂肪や炭水化物を食べ、その食べ方にも注意が必要なのかもしれませんね。
参考文献
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fendo.2020.569250/full
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(16)30533-2
https://www.eurekalert.org/news-releases/853380
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/07/190704191347.htm
https://healthcare.utah.edu/the-scope/shows.php?shows=0_3e4hr6hp