血液検査をするならば

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皆さんは最低でも1年に1回は健康診断の為に血液検査をすると思います。その検査の1つとして脂質の値を調べるLipid Panelという脂質検査があります。脂質検査一般的に、血液中の総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロー ルの値を出します。

そして多くの医者がこの脂質検査の数字のみで、コレステロール値が高いからと言ってコレステロールを下げる高脂血症の薬を処方するというのが現実です。総コレステロールがたとえ300であったとしても、HDLが100、そして他のLDLや中性脂肪が正常値ないであれば、心臓病をまったく心配する必要はないかもしれません。 しかし、あなたのコレステロールが150で、あなたのHDLが30であれば、心臓発作の危険性が非常に高くなると言われています。しかし、この一般的な脂質検査だけで心臓病のリスクを判断するのは時代遅れと断言する専門家も少なくありません。以前にも別のニュースレターで心臓発作の75%は正常なLDLコレステロール値を持つ人に起こると話しました。

機能的医学の専門家は他の検査結果の方が確実に心臓病のリスクを判断できると述べているので、その検査について今回はお話ししますね。

  1. LDL Particle Number and Size (LDLの粒子の数とサイズ)

LDLおよびHDL粒子は、血流を通してコレステロールを輸送する容器です。LDLは体内の各組織、細胞にコレステロール供給していて、LDL受容体などによる制御を超え過剰になると、LDLは酸化LDLなどへ変性して動脈硬化を進行させます。一方HDLは動脈壁や末梢細胞に蓄積するコレステロールを回収し、肝臓へ逆転送するなどの抗動脈硬化作用があります。LDL の中でも粒子サイズが特に小さな亜分画はsmall dense LDL(sdLDL)と呼ばれます。sdLDL はサイズが小さいが故に通常サイズの LDL より容易に血管壁へ侵入でき、かつ、LDL 受容体との親和性が低いため血中に長時間滞留することから、動脈硬化惹起性が極めて強い “ 超悪玉 ” です。なので、LDL粒子の数が多く、LDL粒子のサイズが小さいほど、心血管疾患のリスクが高いと言われています。

LDL粒子数が多くなると、LDL-C値は高くなりますが、小型のLDL粒子が多くなるとLDL-C値は下がります(小型のLDL粒子はコレステロール量が少ないため)。よって同じLDL-C値でも危険性が全く異なるケースが生じます。例えばAさんとBさんのLDL-C値が正常範囲の同じ90だったとしましょう。AさんのLDL粒子は小さく密度の重い粒子です。そしてBさんのLDLは大きく密度の軽いふわっとした粒子です。この場合BさんのLDL-C値が正常範囲であったとしても非常に動脈硬化が進みやすくなっているという事になります。

  • 粒子の全数 (LDL-P): <1000
  • 小さい粒子の数 (Small LDL-P): <400
  1. 酸化型LDL (OxLDL)

LDL粒子が病気を引き起こすというのは、上記で説明したように粒子が小さくて比重が重いので血管の内皮下に容易に進入してしまうというのから始まります。そして内皮の内側に入ると、LDL粒子中の脂肪がフリーラジカル(活性酸素)と反応し、酸化型LDL(OxLDL)が形成されます。やがてマクロファージによって貪食され、最終的に血管の中にプラーク(粥腫)を作り上げます。この、プラークが破綻することで一気に血管がつまり、心筋梗塞や脳梗塞になる、という仕組みです。

  • 正常値: <70 U/L
  • 最適値: <60 U/L
  1. C反応性たんぱく質 (C-Reactive Protein, Cardiac)

C反応性蛋白の産生量は炎症反応の強さに相関するため、血清中のC反応性蛋白を定量して炎症反応の指標とすることができます。すなわち炎症が強いほど血清CRP値は高くなります。医師による健康調査団体(The Physicians’ Health Study)によると、健康な成人男性のうち、CRPレベルが高い人は、CRPレベルが低い人よりも心臓発作を起こす可能性が3倍高いことがわかりました。この調査の対象者は心臓病の既往歴がない人達でした。またクリーブランドクリニックによれば、ハーバード大学女性健康調査で高CRPレベルは高コレステロールレベルよりも女性の冠状動脈状態および脳卒中をより予測することができたと述べています。

  • 正常値: <3.0 mg/L
  • 最適値: <1.0 mg/L
  1. ホモシステイン (Homocysteine)

ホモシステインは、チオール基をもつアミノ酸で、必須アミノ酸の一種であるメチオニンの中間代謝物です。血漿中のホモシステインは心血管疾患の危険因子とされ、ホモシステイン濃度の上昇が起こる高ホモシステイン血症が知られます。そして高ホモシステイン血症は,血管内皮細胞の損傷が原因となり心血管疾患、脳卒中、脳萎縮、アルツハイマー病などの多くの疾患の一因となると言われています。

  • 正常値: 0−15 μmol/L
  • 最適値: <7 μmol/L
  1. アポBとアポA1 (ApoB and ApoA1)

脂質は水に溶けにくいため体内ではアポ蛋白と呼ばれるたんぱく質の袋のようなものに包まれて血中を流れています。このたんぱく質の袋が荷台(脂質)を運ぶ運搬トラックようなものだと想像してください。そしてアポ蛋白に包まれた脂質をリポ蛋白と呼びます。リポ蛋白のひとつ、LDLは肝臓でで合成されたコレステロールをを体中の細胞に運ぶ働きをしています。

アポリポタンパク質の“アポ”は分離を表し、リポは脂肪の意味なので、“アポリポ”で「脂肪を切り離した」になります。ですから、アポリポタンパク質というのは「荷台から脂肪を下した空のトラック」のことになります。人の体の中で脂肪を運ぶトラック(タンパク質の袋)にはいくつかの種類があり、そのうちの1つがアポリポタンパク質B(ApoB)で、これははLDLの主要なタンパク質であり、数字が大きいほど、コレステロールが動脈壁に入り込む危険性が高まり、動脈石灰化や心臓発作の危険性が高まります。

そしてHDLを運ぶトラックはアポリポタンパク質A1(ApoA1)で、LDLとは逆に末梢の組織から余分なコレステロールを拾い上げて、それを肝臓に戻します。なのでHDLの低下は動脈硬化を促進すると言われています。アポBやアポA1を測定した方がLDLやHDLの増減を敏感に反映するので、より的確にリスクを判定できると言われています。 またアポBとアポA1の対比は冠状動脈性心臓病を診断するのに大変優れているとみられています。

アポB • 正常値: 52−135 mg/dL
アポ A-1 • 正常値(男): 101−178 mg/dL • 正常値(女): 116−209 mg/dL
アポBとアポA1の対比• 最適値: <0.8

  1. フィブリノーゲン (Fibrinogen)

フィブリノーゲンは肝臓で産生される凝固因子であり、血栓の骨格となるフィブリンの前駆体で、血小板凝集にも関わる止血機構に重要な物質です。フィブリノーゲンが減少すると出血しやすくなり、増加すると血栓ができやすくなります。出血や血栓形成の指標、DIC の診断、肝機能診断のために測定される。また、急性期反応性蛋白の一つでもあるため、炎症反応の指標にもなります。

フィブリノーゲンの数値が低いと大量出血しやすいということになりますが、その他には肝機能障害(肝硬変や劇症肝炎、肝臓癌など)、先天性凝固障害症(無フィブリノゲン血症、低フィブリノゲン血症、異常フィブリノゲン血症など)も原因と言われています。そして数値が高いという事は血を固めてしまうので、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症急性期、感染症、膠原病、悪性腫瘍などの炎症反応時の可能性が高いと言われています。

  • 正常値: 193−507 mg/dL
  • 最適値: <300 mg/dL

通常の脂質検査で出る中性脂肪の値そして中性脂肪とHDLの対比も他の検査を受ける前に十分注意してみてください。必ず過去10年はさかのぼって変化を調べてみてください。中性脂肪の最適数値は70 mg/dL以下と言われています。(日本では150 mg/dlが診断基準となっています)そして中性脂肪対HDLは2以下を目標とするようにと言われています。この数字が2以上である場合、インシュリン抵抗性があると判断されます。

心臓病検査のマーカーとして何を検査すればよいのか悩んでしまいますよね。なので、今回ご紹介した検査を是非役立ててください。またこのような検査結果から次のステップを他の検査と合わせて検討できるような医師を探してくださいね。すべてのバイオマーカーを見て、何が起こっているのかを把握し、生活習慣、家族歴、遺伝因子と組み合わせてみてくれることを願います。

参考サイト
https://www.onecommune.com/p/hacking-your-healthcare-with-dr-mark-hyman

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