鎮痛剤飲み過ぎていませんか?

私は20代の頃、生理痛がひどくいつも悩まされていました。各月ぐらいの割合で、下痢と吐き気をもよおし、朝起きてシャワーを浴びていると倒れてしまうことも多々ありました。そういう時は学校にも仕事にもいけないので、常備している市販の鎮痛剤を飲んで、15分から20分横になっていました。また酷い偏頭痛持ちで、お酒を飲んでいないのに、二日酔いのような頭痛があり、歩いたり動いたりすると立ちすくまないといられないような激しい痛みでした。脳外科にいって色々と検査をしましたが、何も見つからず、結局は市販の鎮痛剤でごまかすという処理をしていました。

その頃は食事の内容や生活習慣などを見直すなどという考えは全くなく、薬局で買える市販の鎮痛剤が私の唯一の支えだと思っていました。それから数年が過ぎ、環境と食生活を改善し、生理痛と偏頭痛に悩まされることはなくなりました。しかし、以前の私のように「無害な薬」と思って市販の鎮痛剤を常に持ち歩いたり、オフィスの引き出しに入っているという人が多いのが現状です。

製薬には副作用が付き物であることを忘れないでください。注意を払って服用しないと生命を脅かす結果に至るのです。

市販の鎮痛剤には主成分に大きくわけると4つあります。
1) アセトアミノフェン: タイレノール、ノーシン (Tylenol)
2) アスピリン: バファリン、バイエルアスピリン、エキセドリンA錠 (Bayer)
3) イブプロフェン: イブ、バファリンプレミアム (Advil, Motrin)
4) ナプロキセン:  ナイキサン錠 (Aleve, Pamprin All Day, Midol Extended Relief)
この他に日本ではロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン), イソプロピルアンチピリン(セデス・ハイ、サリドンA), エテンザミド(ノーシン)などがあります。

上記4つの内アセトアミノフェン以外の3つは非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAID)に分類されます。ステロイドを使用していなくて、炎症を抑えてくれるのなら安心と思われがちですが、実は下記のような怖い副作用があるのです。

2015年の7月にFDA (アメリカ食品医薬品局) はアスピリン以外のNSAIDsに心血管リスクがあると警告を発表しました。長年にわたる研究により、NSAIDsは心臓発作および脳卒中のリスク増加に結びついており、特に長期間、服用量がおおく、また以前に心臓発作を起こしていた(または心臓のリスク因子を有していた)人には生命にかかわる危険があると言われています。最初の心臓発作の後にNSAIDで治療された患者は、最初の1年で死亡する可能性がより高く、心不全はNSAID使用の最初の数週間で起こり得ると表示しています。

またNSAIDsは胃や腸の内面に損傷を与え、出血や潰瘍の原因となります。長期使用者、60歳超の患者、重度の酒飲み、胃腸出血または潰瘍の既往歴のある患者、血液をサラサラにする「抗血小板薬」や「抗凝固薬」、またステロイドなどの特定の薬剤を服用している患者は特にリスクが高いと言われています。さらに、NSAIDsは排卵を阻害し、若年女性のプロゲステロンレベルを低下させ、繁殖力を著しく損なう可能性があることも示されているのです。

妊娠後期中はNSAIDsを服用しないように定められています。母体にいる赤ちゃんには母親からの栄養素と酸素が動脈管と呼ばれる血管を通して供給されます。NSAIDsは、この動脈管の早期閉鎖を引き起こす可能性があると言われているのです。したがって、妊娠後期中にNSAIDsを服用した場合は、すぐに医師に相談してください。複数回投与した場合、または規定量以上服用した場合は特に注意してください。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、アスピリンは15歳以下の子供さんには服用させてはいけません。大人用のバファリンが有るからと言って、それを子供に半分だけ飲ませる、と言うような事は、してはいけません。稀なケースですが、アスピリンは15歳以下の子供が服用すると、深刻な難病であるライ症候群((急性脳症、肝臓の脂肪浸潤を引き起こす)が発生する可能性があると言われています。ライ症候群と診断された症例のうち少なくとも90%がアスピリンによって引き起こされたと証明されているのです。そしてライ症候群と診断された人の約10%は治療を受けても死ぬという研究結果がでています。なのでアスピリン、またアスピリンを含む製品は、決して15歳未満の子供には与えないでください。

NSAIDs ではないアセトアミノフェンはどうなのでしょう。実はアセトアミノフェンは肝臓の最悪の敵なのです。アセトアミノフェンで有名なのはタイレノールですが、アメリカではDayquil, Midol and Excedrin にも使われています。

肝細胞は、胃腸管を通って吸収される薬剤や化学物質の解毒処理を担当しているのですが、肝細胞の酵素がアセトアミノフェンを処理すると、毒素が放出されて肝細胞に損傷を与えてしまうのです。この毒素は重要な機能性酵素に結合し、肝臓の抗酸化能力を阻害するので、文字どおり非抗酸化剤になってしまいます。服用量が多いと、肝不全を引き起こす可能性があり、これは、米国の毒物コントロールセンターへかかってくる緊急電話の殆どを占めています。そしてその結果救急病院へ担ぎ込まれる数は年間5万件以上と言われており、アセトアミノフェン製品の長期使用は、急性肝不全と診断された患者さんの50%を占めているのです。

痛みを管理するのは簡単なことではないことを私もよく知っています。実は5年前に横断歩道を渡ろうとしている時に、2階建て観光バスに右側を当てられ、その事故による後遺症に今でも悩まされています。私の身体能力は大幅に低下してしまい、 走ったり、ジャンプしたり、床にペタッとお尻をついて座ることはできなくなりました。痛み止めの薬の処方や手術などを何人かの専門医に勧められましたが、薬の副作用や手術後の後遺症はないと保障はしてくれないので、そのような治療は断ってきました。私は、理学療法士が勧めたような軽い運動を行ったり、時にはマッサージや鍼治療にいったり、温かいお風呂に使ったり、冷やしてみたりとできることを行っています。一部の人にとっては、鎮痛薬を避けることは決して容易ではないかもしれません。しかし、鎮痛剤を過度に投与しないでください。服用量などの注意書きをよく読んで正しくそして短期間のみ服用してくださいね。そしてできるだけ、薬物以外の治療法を見つけて続けていってください。

頭痛、片頭痛、生理痛でお悩みの人は食生活や生活習慣を見直してみてください。大体が体に入ってくるものだったり、影響を与えるものが原因となります。

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