昨年1月、米モンサントの除草剤「ラウンドアップ」が原因でがんになったと主張する男性(49)が同社と親会社の独バイエル社に損害賠償を求めた訴訟で、ペンシルベニア州の陪審が両社に22億5000万ドル(約3300億円)の支払いを命じる評決を下したのはまだ覚えてらっしゃる方もいるかと思います。このラウンドアップに関する訴訟はこれだけではなく、2018年8月に米国で「学校の校庭整備のために使用したラウンドアップが原因で、悪性リンパ腫を発症した」と末期がん患者がモンサント社に損害賠償を求めました。この裁判では、「グリホサートにがんを引き起こす可能性がある」と示されたモンサントの秘密文書が明らかになりました。そのため、「モンサント社が、がんの可能性を知りながらも警告しなかった」として損害賠償が認められ、カリフォルニア州サンフランシスコ市は2018年8月10日、モンサント社(バイエル社に買収されたのは2019年)に2億8,900万ドル(約320億円)の損害賠償金の支払いを命じました。ソコラブ弁護士事務所によると、バイエル社は2025年6月現在、約17万件のラウンドアップの損害賠償請求が提出されているそうです。これらの請求の大部分は、被害者が除草剤に暴露された結果、様々な種類の非ホジキンリンパ腫を発症したと主張しています。
このようにグリホサートを使用していることで多額の損害賠償を払い続けることになってしまったので、バイエル社は除草剤の主成分であるグリホサートを消費者向けラウンドアップから除去すると2023年に発表しました。そしてグリホサートの代わりに使用されている主成分についての分析が昨年発表されましたが、大きな懸念をよんでいます。
昨年、米国の大手家庭菜園小売店である、ホームデポとロウズで売られている新しく成分変更されたといわれるラウンドアップをフレンズ・オブ・アースという環境団体が調べました。その報告書によると、いくつかのラウンドアップ製品にはまだグリホサートが含まれていることが判明し、バイエル社が掲げた約束は守られなかったということになります。また、グリホサートが成分として入っていないラウンドアップ製品を調べると、代替として、ジクワット・ジブロミド、フルアジホップ-P-ブチル、トリクロピル、イマザピックの4種類の有効成分が新配合されていました。そして怖いことに、EPAの安全性研究の評価によれば、この4つの化学物質はすべて、グリホサートよりも長期的な生殖に関する健康問題のリスクが高いと言われているそうです。最も悪いのはジクワット・ジブロマイドで、ラウンドアップの新製剤すべてに含まれていて、 グリホサートの200倍の慢性毒性を持ち、危険性の高い農薬に分類され、欧州連合(EU)では使用が禁止されている成分なのです
薬理学のフロンティアという医学誌に今年5月発表された研究によると、ジクワット・ジブロマイドは腸のバリアを弱め、善玉菌を死滅させ、栄養吸収を妨げ、慢性炎症を誘発する可能性があるといわれます。腸の健康状態がどれだけ重要かは皆さんもよくご存じですよね。腸内環境の悪化は、全身に深刻な影響を及ぼします。研究によれば、ジクワットが腸に与える有害な影響は、腎臓、肺、肝臓など他の臓器にも及ぶといわれています。また神経伝達物質の産生が低下し、うつ、不安、気分の落ち込み、エネルギーレベルの低下など、さまざまな精神上の問題を引き起こす可能性があるそうです。
疾患というのはピンポイントで原因を見つけることは中々難しいといわれています。このような毒性の強い除草剤が近所で使われていたり、仕事場のオフィスの庭にまかれていたりと、知らず知らずの間に毒が体内に蓄積されていっているかもしれません。現代社会では常に生活習慣、食生活、また環境によって除草剤だけではなく、様々な有害物が身体に入っていっているので、定期的なデトックスを行ってください。デトックスに関してのご相談、カウンセリングご希望の方はご連絡をお待ちしております。
参考文献
https://www.frontiersin.org/journals/molecular-biosciences/articles/10.3389/fmolb.2021.632955/full
https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2025.1562182/full
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8196593/
https://www.sokolovelaw.com/product-liability/monsanto-roundup/lawsuit-updates/
