もしかして肥満の原因はこれ？？

抗生物質の過剰使用や誤用はもう何年も問題になっていますよね。以前は抗生物質の使用によって効果的に治療できた細菌が、その服用を繰り返すことにより、抗生物質耐性が発達してしまい、より重篤な感染症や合併症を引き起こしてしまうという重大な問題が起こっています。また抗生物質の過剰処方は、副作用の危険性が増加します。、例えば、抗生物質はアレルギー反応やクロストリジオイデス・ディフィシル（C.diff）感染症の発症リスクが高まるのです。それによって再受診の頻度も増加していきますし、簡単に治療できたはずの病気なのに、他の薬と合わなくて、病院に入院となるケースも多々あると言われています。しかしながら、医者に抗生物質を処方されると、何も疑問に思わずそのまま言われたとおりに飲み続けるというのが当たり前となっているのではないでしょうか？　でも抗生物質が肥満にさせるってご存知でしたか？

最初の真の抗生物質であるペニシリンが、ロンドンのセント・メアリー病院の細菌学教授、アレクサンダー・フレミングによって発見されたのは1928年のことでした。その後、牛の乳房炎を治療するための乳房内ペニシリン製剤という形で抗生物質が初めて農業に使われたのは第2次世界大戦末期のことだと記録されています。

そして1940年代後半に、ヒヨコの飼料にB12を補充することを検討する研究が行われ、ヒトの医療に使用される抗生物質であるストレプトマイセス・オーレオファシエンス（Streptomyces aureofaciens）の発酵から生成されるB12は、他の供給源から供給されるB12よりもヒヨコの体重増加がよく、鳥を市場体重にするための飼料の量を減らすことができることがわかったのです。こうして抗生物質は細菌感染症にかからないようにするためだけではなく、成長促進のために健康な動物に投与し続けてきたのです。

動物に起こるのであるから人間にも体重増加の影響はあるだろうと様々な研究がされて来ました。抗生物質の使用と肥満の発生との関係は、ヒトにおいてますます明らかになりつつあり、過去70年間の抗生物質の大量使用と、それと並行して発生した肥満の “流行 “との関係を、ほとんど疫学的な悪影響として明確に立証している著者もいます。

そして注目したいのは、2歳以前の抗生物質曝露と小児肥満との関係を調べた研究がいくつかあり、一番新しいのは今月２５日に発表されたものです。フィンランドのオウル大学の研究者たちは、生後2年間に抗生物質にさらされた子どもは、そうでない子どもに比べて太り過ぎのリスクが9％、肥満になるリスクが20％高いことを発見しました。

昨年11月には乳児期に抗生物質を過剰投与したことにより、極度の肥満症に苦しんでいる12歳の中国人少女のエピソードが報じられました。河南省在住のランランちゃん（12）は身長150cm、体重194.4kgで、このような状態は、生後6ヶ月の時に高熱治療という理由で投与された大量の抗生物質が原因とされています。

抗生物質が体重増加につながるメカニズムについては、色々と研究がされており、いくつかの仮説があります。一つの仮説は、抗生物質が腸内細菌の難消化性多糖類からのエネルギー抽出能力を高め、カロリー吸収を促進するというもの。もうひとつのメカニズムは、代謝的に肥満を防ぐ細菌の数が減少することで、腸内細菌叢の組成と機能が変化すること。また抗生物質は腸の防御機能を低下させ、有益な代謝・免疫経路を減少させる可能性があるという説もあります。もちろん抗生物質の使用と体重増加の関係は複雑であり、抗生物質の種類、投与経路、投与時の被験者の年齢など様々な要因に影響されますし、食事、生活習慣、他の薬剤、プロバイオティクスの使用は、この関係をさらに複雑にすると言われています。

しかし、生後すぐにまたは３歳ぐらいになるまでに抗生物質の摂取はしないように気を付けていくことは必要ではないでしょうか？赤ちゃんは一般的に、皮膚感染症、耳感染症、咽頭感染症などの細菌感染症にかかることがあり、一番よく聞くのが溶連菌感染症かと思います。耳の感染症は、必ずしも抗生物質を必要とするわけではなく、多くの耳感染症、特にウイルスによる耳感染症は、抗生物質を使わなくても自然に治ることがあります。細菌感染症も常にちゃんとした食生活をし、栄養をとって免疫力を高めていれば、かかりにくいと言われていますので、かかりにくい身体づくりを目指してください。また大人も同様です。風邪でも抗生剤を処方する傾向があり、それは肺炎などの合併症を防ぐ為と言われていますが、肺炎へと拗らせないように栄養補給をしていくことが重要だと思います。

参考文献

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4232501/

https://www.acs.org/education/whatischemistry/landmarks/flemingpenicillin.html