今年の日本滞在でとても気になったのがSDGs (Sustainable Development Goals=持続的な開発目標)という言葉がテレビや、新聞、雑誌などどの媒体でも頻繁に使われていたこと。よく耳にする言葉だけど、みんなわかっているのかな～？と思ってしまいました。世の中で起こっていることを常に把握しているわけではないので、私もわかっていないことが沢山あるけれど、SDGｓは胡散臭いと直感的に思ってしまう。だって「よりよい未来を作るために」というどこかの会社のスローガンのような文句が掲げられ、マスコミも政府も「いいことをしているんだぞ！」と威張っているようにみえて仕方ない。みなさんはこのSDGsについて深く考えたことはありますか？ この「目標」というのを達成したときに利益を得るのは私たちなのでしょうか？
そもそも目標としているものは上の写真にありますが、１７もあり、この目標にはそれぞれターゲットというものが存在し、その数は169個！たとえば目標1の「貧困をなくそう」には、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」や「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる」といったターゲットがあります。でも具体的なやり方は示されていません。
SDGsって誰がつくったのか知っていますか？そう、国連です。国連は政府ではないので、拘束力のある法律を作る権利はありません。その代わり、説得力を行使するのです。ですから、国連に言われたとおりに対策を進めていく必要は全くないのです。
サステナビリティ＝持続可能なという意味を皆さんわかっていますか？ 理解していれば、国連が言っているSDGsや、日本も含めたそれぞれの国が行っている企業の取り組みが全く「持続可能な社会」の改築を行っていないということがみえてくると思います。
現在の危機的な環境問題は、産業革命によって起こされました。人が豊かさや利便性を得る代わりに環境破壊が進んだとも言えます。自然環境の破壊によって未来の人々に影響を与えることが問題視されたため、その状況を改善してき、持続可能な社会の実現が必要であるということです。持続可能な暮らし方を実践しようと様々な団体が呼びかけていますが、その内容はこんな感じです。
- 水道水を飲む／使い捨ての水ボトルを避ける：缶やプラスチックボトルの飲み物を減らそう
- 肉の消費量を減らそう
- 外食はできるだけ減らし、手作りの食事を心がけましょう。
- デリバリーを減らし、お店にいって買い物しましょう。
- 公共交通機関や自転車を使って移動しよう
- 飛行機での旅行は減らそう
- 野菜や果物を栽培しよう
- 包装を減らそう
- ペーパータオルの使用を減らそう
- サランラップ、ジップロック、アルミホイルの使用を減らそう
- ファーストファッションを止めよう
というような感じです。納得することが沢山あるのではないでしょうか？ また上記に加えて、電化製品や車、家、建物、機械、道具など使う物もなるべく長持ちするように製造されるべきです。５年おきとかに買い揃えないといけないとなるとその分ゴミが頻繁に作られてしまいます。最終的に「持続可能な暮らし」を可能にするには「買う量を減らし、使用・消費する量を減らし、捨てる量を減らす」となります。これは資本主義経済に反する考え方なので、利益を得る事が一番の目標としている企業や投資家はSDGsといいながらも、結果的には環境を悪くする方針を行っています。
例えば太陽光パネル。再利用エネルギーと言われている太陽光発電には、沢山の化石燃料の投入が不可欠なんです。鉱石から金属を製錬するための炭素還元剤として、製造過程で必要な熱と電力として、また運送や配備のためにも化石燃料が使われます。さらに太陽光パネルの原料は毒性の強い化学物質が使われて、リサイクルも難しく、コストがかかるからということで、ほぼ９０％がごみとして埋め立てられています。埋められた土地にはこの有害化学物質が溜まっていくという最悪の状態を作りだしています。風力発電もエコとは言えないんです。ハーバード大学の研究者たちによると、アメリカで風力発電に移行するには、これまで考えられていたよりも5倍から20倍の土地が必要であり、そのような大規模な風力発電所が建設された場合、アメリカ大陸の平均気温を摂氏0.24度上昇させると言われています。またWWFによると森林減少と森林劣化の大きな原因は大量生産農業や家畜だそうです。加工食品、冷凍食品、ファーストフードなどに使われる大量生産の肉、大豆、トウモロコシの生産を止めれば、農地が森林と生まれ変わり、人々の健康も取り戻せるでしょう。でも、そんなことは資本主義者にとってはありえない発想なんです。さらにエコと言われる電気自動車ですが、生産するのにも、充電設備を作るにも化石燃料が大量に使われます。マンハッタン研究所の物理学者マーク・ミルズ氏は「二酸化炭素のことを心配しているのなら、電気自動車があなたの家の玄関に届くまでに、（採掘、製造、輸送で）10トンから20トンの二酸化炭素を排出しているのです」と消費者ジャーナリストのジョン・ストッセルのインタビューに応えています。またミルズ氏は「大雑把に言って、ガソリンから電気部門にエネルギーを移動させるためには、送電網（電力系統）を2倍にしなければなりません」と述べ、「誰も送電網を2倍にしようとは考えていない。」と現実の実態を付け加えています。
このように、大手企業や投資家は世間に公表していることと、実際に行っていることは相反しているのです。考えてもみてください、SDGsの１の目標、「貧困をなくそう」は現在の資本主義社会では金持ちがより金持ちになるばかりで、貧困者がなくなることはありえないわけです。経済学者のリチャード・ウルフ氏は「資本主義には貧困がつきもの」と言っています。
日本はバブルが崩壊するまでは「一億総中流」という資本主義経済でも安定した社会でしたが、新自由主義＝ネオリベラル（ネオリべ）という発想がアメリカからの弾圧とそれを拒否できない虚弱な政府が1990年代に導入し、金銭や利潤だけが行動の判断基準で伝統や文化、共同体といった自生的な秩序が破壊されました。そして新自由主義は市場競争とともに多国籍企業、大資本、大企業を優遇し、消費税３％から５％に引き上げられた1997年に法人税は引き下げられました。そして日本でデフレが始まり、勝ち組と負け組という階級の層が開いてきたと言われています。
SDGsは私たちを幸せにしてくれる目標なのでしょうか？ それとも私たちを縛り付け、自由を奪い、お金を搾り取り、コントロールするための善意に見せかけた政策なのでしょうか？ 私の住むブルックリンには高層ビル、高級マンションが立ち並び、小さな地元のお店は閉められ、資本のあるチェーン店が登場しています。ワンルームマンションがひと部屋１億円以上するマンションの横ではパンツをおろしてウンチをしているホームレスがいるという世界です。
参考文献
https://www.technologyreview.com/2021/08/19/1032215/solar-panels-recycling/
https://www.theguardian.com/environment/2020/feb/29/50-ways-to-green-up-your-life-save-the-planet
https://ourworldindata.org/fossil-fuels
https://sdgs.un.org/publications/sdg-good-practices-2020
https://spectrum.ieee.org/solar-energy-isnt-always-as-green-as-you-think
http://www.americanexperiment.org/solar-panels-produce-tons-of toxic-waste-literally/
http://www.reason.com/2022/11/02/driving-electric-cars-produces-little-carbon-making=the batteries-produces-a-lot
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