
血栓(血管内にできる血の塊)を防ぐ為にアスピリンを服用することが当たり前のように考えている方(医療関係者も含め)がまだ多いようですが、先月米国予防医療専門委員会(USPSTF)はアスピリンに関する最終勧告を発表し、60歳以上の心血管系疾患の一次予防のためのアスピリンの使用開始を否定する勧告を発表しました。また心臓病になるリスクがこの先10年に10%以上ある40~59歳の成人グループにおけるアスピリン使用の効果は小さいという判断になりました。
そもそも血栓とは止血し血管を修復する上で必要不可欠なものなのです。本来であれば、プラスミン(血液中で血餅(けっぺい)や血栓を溶かす働きをする酵素)の働きによって血栓が自然に溶けてはがれるはずなのに、食生活や生活習慣の乱れによって、凝固系の働きを強め逆に線溶系の働きを弱めてしまっていると言われています。つまり、現代人は血栓が出来やすく、溶けにくい、体質になっているんです。この血栓ができた個所が脳の血管ならば、脳梗塞、心臓付近の血管ならば心筋梗塞となってしまうのです。
元々正常に働いていた機能が食生活や生活習慣の乱れによって衰えていったというのであれば、食生活や生活習慣を改善することが1番の脳梗塞、心筋梗塞の予防となるわけです。抗血小板剤としてアスピリン、ワーファリンを服用しても副作用が伴い、果たして副作用を上回る効果があるのかは上記のアスピリンの研究にあるように疑問です。
ではサプリメントではなにがあるかといいますと、ピクノジェノールがアスピリンと同等の血液凝固阻止効果を持ち、しかも低用量で安全性に優れていることが、相互比較試験で確認されています。また今年、イタリアの研究者らは、網膜静脈血栓症の初回発症後の再発予防について、ピクノジェノールとアスピリンのどちらを使用するかを比較検討しました。網膜静脈血栓症は、高血圧、動脈硬化、糖尿病など、血管系を苦しめる他の疾患と密接に関連した比較的よく見られる疾患と考えられています。研究の結果、網膜静脈血栓症の再発率はアスピリングループの方がピクノジェノールグループよりも約5倍も多く、視力や網膜の腫れ(浮腫)もピクノジェノールグループの方が断然低いということがわかりました。
ピクノジェノールは副作用もほとんどないと言われていますが、服用には主治医と相談し、まずは食生活や生活習慣の改善を始めていくのが賢明かと思われます。
参考文献