お肌の細菌は健康?

私たちの体は何兆ものバクテリア、ウイルス、菌類でいっぱいです。それらはまとめてマイクロバイオーム(微生物叢)として知られています。病気に関連するバクテリアもありますが、他の多くのバクテリアは実際に免疫システム、心臓の働き、体重管理、そして健康体を保つための色々な側面にとって非常に重要です。 また、私たちの皮膚にも、同じようにバクテリア、ウイルス、真菌など、何十億もの小さな生物の網で覆われています。この皮膚フローラ(皮膚常在微生物叢)は私たちの体が内外で適切に機能するのを助けてくれます。 健康な皮膚は肌を弱酸性に保ち天然の抗生物質と抗菌ペプチドのような低分子量タンパク質群からなる化学的バリアをつくり、病原性微生物の侵入から守ってくれます。しかし、アトピー性皮膚炎を持つ人は、一般の人とは異なる皮膚フローラを持っています。 

アトピー性皮膚炎患者の皮膚では常在菌の細菌の種類が著しく減り、過半数が黄色ブドウ球菌を占めるという異常な状態になっているのです。黄色ブドウ球菌は皮膚表面や毛穴に存在し、存在しているだけでは問題がありません。 しかし、ブドウ球菌の中では病原性が高いため皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して皮膚炎などを引き起こします。 

ミシガン大学で行われた研究では、黄色ブドウ球菌のデルタ毒素が毒として作用し、真皮に存在する肥満細胞の脱顆粒を引き起こし、ヒスタミンの流出をもたらして炎症を発生されるということが解明されました。そして研究者は、「アトピー性皮膚炎の患者の90%から皮膚病変部に黄色ブドウ球菌を検出できました」と述べました。 

アトピー性皮膚炎を40年間治療している英国を拠点とする皮膚科医のリチャード・アロン医師 はこのミシガン大学の研究に基づいて、アロンレジメンと呼ばれるユニークな治療法を生み出しました。この療法は英国だけでなく、様々な国のアトピー性皮膚炎に悩まされる患者が使用しFaceBookやツイッターなどで大きな反響を呼んでいます。 アロンレジメンは、ステロイド外用薬、外用抗生物質、そして保湿剤を1つの製品にまとめたもので、患者は1日6回まで皮膚に塗布します。ここで使用されるステロイド外用薬は症状の酷い患者さんでも薬効の弱いもので、さらに保湿剤で大幅に希釈されており、副作用を引き起こす可能性が低くなっていると説明されています。アロン医師の治療の原則は、アロンレジメンの使用だけでなく、食事療法、運動、入浴、衣類、日焼け止めに関するアドバイスも含めた総合的な治療構造を提供しているそうです。 

やはりアトピー性皮膚炎の治療法はステロイド外用薬を塗るだけではなく、健康な微生物叢の重要性が腸内環境だけでなく、皮膚を含めた全身に当てはまります。なのでアロンレジメンだけを試しても、効果が現れない可能性があると思います。つい先日行われた皮膚病のウェビナーのホストで、生後まもなく重度のアトピー性皮膚炎になった子供を持つスターナゲルご夫妻によると、アトピー性皮膚炎を治療するためのアプローチは、食事療法、サプリメント、パーソナルケア製品の変更、快眠、ストレスの軽減、そして専門家に処方されるお薬の接種などにより、 バランスの取れた健康な全身のマイクロバイオームを取り戻すことだと話していました。 

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