
皆さんの多くは「気候変動」、「地球温暖化」を気にしていると思いますが、何か対策として行っていることはありますか? 例えば車や公共交通機関を使わずに自転車で移動したり、節電や節水に気を付けたり、植物を植えて緑を増やすなど。また温室効果ガスを減らす為にビーガンになろうと考えている(または既になっている人)人も少なくないと思います。私の娘もグレータ・トゥーンベリさんが演説したニューヨークの気候変動のストライキに参加した時に決心してビーガンになりました。彼女の決意を支援したいと思っていたのですが、そんなに長くは続かず。。。しかし、もしアメリカ人全員がビーガンになったとして、実際にどれだけの温室効果ガスが減ると思いますか?
2018年のアメリカ国家気候評価によると気候変動の一番の原因は温室効果ガスです。多くの温室効果ガスは大気中に自然に発生しますが、人工的な発生により、CO2、メタン、亜酸化窒素、フッ素化ガスなど、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇しています。それらは、石炭、石油、およびガスの燃焼、森林の伐採、窒素を含む肥料の使用、また畜産から来ています。
米国環境保護庁(EPA)が発表した2019年の経済部門別の米国の温室効果ガス総排出量をみると、米国での経済活動による温室効果ガスの最大の排出源は、電気、熱、輸送用の化石燃料の燃焼からきています。下の図を見てください。
この図からわかるように、農業部門からの温室効果ガス(GHG)排出量はわずか10%であり、その半分は、合成肥料の使用、窒素固定作物の成長、有機土壌の排水、灌漑慣行などの農業土壌の管理によるものです。牛の消化過程から発生されるメタンガスは、農業部門の4分の1を少しうわ回るほどなんです。
では最初の質問に戻りましょう。アメリカ人全員が肉を食べなくなったら、どれだけの温室効果ガスが減るのか? たったの2.6%だそうです。しかし、やたらと出てくるビル・ゲイツはこの気候変動から地球を守る救世主だとでもいいたいのかと思われるように「先進国の人間は、合成人工牛肉100%を食べて、地球温暖化をなくそう」と言っています。分子レベルで肉の風味・味・香りを分析し、植物原料から「肉」を再現した人工肉「Impossible Burger(インポッシブル・バーガー)」と「Beyond Meat(ビヨンド・バーガー)」はなにでできているかご存知ですか?

インポッシブル・バーガー
水, 大豆タンパク質濃縮物, ココナッツオイル, ひまわりオイル, 天然調味料, 2%以下配合物:じゃがいも タンパク質, メチルセルロース, 酵母エキス, 培養ブドウ糖, 加工でんぷん, 大豆レグヘモグロビン, 塩, トコフェロール合剤(酸化防止剤), 大豆タンパク質分離物、ビタミンとミネラル(グルコン酸亜鉛、チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リボフラビン(ビタミンB2)、ビタミンB12)

ビヨンド・バーガー
水、エンドウ豆タンパク質*、機械的な(エクスペラー)摘出キャノーラ油、精製ココナッツオイル、ライスプロテイン、天然香料、乾燥酵母、ココアバター、メチルセルロース、1%以下配合物:じゃがいも澱粉、塩、塩化カリウム、ビーツ色素、りんごエキス、ザクロ濃縮物、ヒマワリレシチン、酢、濃縮レモン汁、ビタミンとミネラル(硫酸亜鉛、ナイアシンアミド[ビタミンB3]、ピリドキシン塩酸塩[ビタミンB6]、シアノコバラミン[ビタミンB12]、パントテン酸カルシウム)
こんなに沢山の遺伝子組み換えで作られた食品添加物が入っていますが、インポッシブル・バーガーには大豆レグヘモグロビンと言う遺伝子操作されたヘムを使っています。ヘムは、植物や動物に見られる鉄を含む分子で、肉独特の色や質感、味を生み出します。どのように遺伝子操作されているかというと、大豆レグヘモグロビンをつくるDNAを酵母に挿入し、この酵母を発酵させて培養。大豆レグヘモグロビンを分離して、バーガーに加えるのです。自然界には存在しない新しい生物学的部品、デバイス、システムを構築するこの遺伝子工学物は、原産物や、遺伝子操作された酵母の試験もされずに、米食品医薬品局(FDA)は色素添加物証明書免除リストに追加したのです。この免除リストに載せてもらうために用意したリポートの枚数はなんと526ページ! こんなに沢山の資料を必要とする物質が人間にとって本当に安全といえるのでしょうか?
そして、牛の温室効果ガスですが、これはGMO穀物の不適切な飼料を与えている集中家畜飼養経営で育てられた牛からのものなのです。放牧草で飼育された牛は、環境を害したりしないのです。ホワイトオーク牧草地でのカーボンフットプリント(炭素の足跡)評価に関するある研究によると、3,200エーカーの農場は、牧草飼育牛からのメタン排出量のすべてだけでなく、農場の総排出量の多くも相殺するのに十分な炭素を牧草地に貯蔵していました。
なので、私たちがホワイトオーク牧草地やカーマンランチで育つ牛の放牧肉を食べていれば、汚染された環境を綺麗にしていけることになります。また偽の合成人工肉はその製造過程で温室効果ガスが発生するため、地球の生態系をサポートしないんです。ということは偽の合成人工肉を食べる理由はないのです。どうして生態系をサポートしないかというと、そもそもこの合成人工肉に使われる植物は工業型農業で生産されたものです。そして工業型農業は、土壌中の炭素レベルを低下させ、二酸化炭素、メタン、一酸化窒素など温室効果ガスの17~32%を排出し、気候変動の大きな要因となっているんです。【フードフィックス:私たちの健康、経済、環境、そしてコミュニティを救う方法】という本を書いた機能性医療で活躍する医師、マーク・ヘイマン氏は「大気中の炭素の30〜40%は、工業型農業そして農薬生産によってうまれた石油燃料の使用によるもので、気候変動につながるのです。 」と言っています。
ということで、インポッシブルにもビヨンドにも投資しているビルゲイツの言葉に反応しないで下さいね。合成人工肉は環境問題を解決するどころか、反対に生態系そして私たちの体を破壊していくのです。この偽り肉は投資家という金持たちをより金持ちにさせる手段なだけなのです。自分の身体を大切に!
参考文献
https://www.ucsusa.org/resources/are-humans-major-cause-global-warming