癌とインスリン

現在糖尿病に関する本やニュースはたくさんありますが、糖尿病そして糖尿病予備軍と診断される人は減るどころか、年々増加しています。また、何十年にもわたって莫大な資金が癌研究に投資されてきていますが、癌は米国で死亡原因の2位に入っており、日本では1位となっています。多くの人は、これら2つの病気は関連性がないと思っているかもしれませんが、実際にはあるのです、インスリンと癌の関係が。。。2012年の研究によると、空腹時の血清インスリンの高い人は、癌による死亡のリスクが62%高く、胃腸癌による死亡のリスクが161%高いと発表されました。では何故インスリンが関係するのでしょうか? 

癌とインスリンの関連性はかなり前から分かっていましたが、癌を代謝性疾患として認識し、その角度からの治療は近年、より真剣に検討され始めています。 現在、研究室で乳がん細胞を増殖させるのは非常に簡単なんだそうです。その増加方法は何十年もの間使用されてきました。 乳がん細胞を取り、そこにブドウ糖、上皮成長因子(EGF)そしてインスリンを加えるのです。たくさんのインスリンを。 するとその乳がん細胞は雨後の筍のように次から次へと増えて行きます。 

インスリンは、すい臓のベータ細胞で作られるホルモンです。食後に血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇すると、それに反応して膵臓からインスリンが分泌されます。細胞の表面にはインスリン受容体があり、インスリンがこの受容体に結合することで、細胞は血液中のブドウ糖をとりこみ、エネルギー源として利用します。余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に合成され蓄えられますが、その合成を促進するのもインスリンの働きです。またインスリンは、さまざまな細胞の成長と増殖を刺激するのです。つまり、細胞内のインスリンレベルが高いほど、より迅速な細胞分裂を引き起こします。1990年に発表された研究では、乳がん細胞が正常な乳房組織の6倍以上の数のインスリン受容体を含むことを発見しました。これはインスリン増強療法(IPT)と言う新しいがん治療が静脈内癌治療として開発された理由が説明できます。 IPTはインスリンを使用して低量の化学療法で癌を治療するのです。1930年代初頭にIPTを開発したメキシコの医師であるドナト・ペレス・ガルシア氏は、癌細胞は正常細胞よりも多くのインスリン受容体を持っているため、血糖値の変化に応じてインスリンが血流に放出されると、インスリンはこれらの細胞に付着し、栄養素が細胞に入るのを可能にすると考えました。そして、癌細胞の過剰なインスリン受容体が活性化されると、がん細胞治療の対象にすることがより簡単になると理論づけたのです。ドナト・ペレス・ガルシア氏(そして今では彼の孫)は、IPTは癌細胞を標的できるので、少ない量の化学療法で同じ結果を得ることができると主張しました。したがって、化学療法薬が少ないということは、重篤な副作用が少なくなると言われています。 

ご存知のように、私は化学療法の大ファンではないので、IPTについて説明したのはIPTを宣伝したい訳ではありません。 皆さんにここで理解して頂きたいのは 1)がん細胞はインスリン受容体が多いこと、2)「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態である高レベルのインスリンが癌の成長を促進すると言うことなんです。 

そこで今度は「インスリン抵抗性」とは何か。また何が原因で発生するのかを理解して頂きたいと思います。インスリンは、骨格筋・脂肪細胞・肝臓といった標的臓器に、糖分の吸収を促すように働きかける役割を持っています。標的細胞がインスリンに対して反応することを、「インスリン感受性」といいます。 なので「インスリン抵抗性」とは、標的細胞のインスリンに対する感受性が低下してしまっていることを意味するのです。十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず標的臓器がうまく反応せず、糖分をなかなか取り込まなくなり、血液に糖が蓄積されて高血糖になってしまうのです。インスリン抵抗性を引き起こす原因として食生活の欧米化(Standard American Diet 略称SAD)によるものといわれています。砂糖や精製穀物を多く含む加工食品だけでなく、加工肉、乳製品、揚げ物などの脂肪の多い食品は、より多くの代謝燃料を作り出し、両方の組み合わせは間違いなく深刻な健康被害につながると言われています。クリーンイーティング、つまり自然食品をとり、加工食品を減らすことで、より健康な体を作ることが健康を保つためのカギと言えるでしょう。ガンの予防に真剣に取り組もうとお考えならば、新鮮な果物や野菜を中心とした、加工食品のない低脂肪ビーガン食をお勧めします。 

癌には高インスリン血症がよくないのだから、高血糖を防止するならば低糖食であるケトジェニックダイエットがよいのではと思いがちですね。確かにケトジェニックダイエット(低炭水化物、高脂肪)は食後のインスリンレベルを低下させますが、長期的なブドウ糖管理に悪影響を与える可能性があります。高脂肪食は、インスリン抵抗性のリスクの増加に関連しているのです。研究者たちは、脂肪の多い食事は重要な細胞シグナル伝達を妨害し、インスリンに対する感受性を低下させてしまうと警告しています。 

アジア人は欧米人よりももともとの体の仕組みとして、インスリンを分泌する量が少ないので、欧米食を続けると糖尿病になる確率が高いと思います。なので、HbA1cの数値変動には要注意です。特に中性脂肪が高く、高血圧を持っている人は気を付けてください。 

参考文献

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15297079/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16319806/

https://www.masteringdiabetes.org/high-carb-foods-reverse-insulin-resistance/

https://healthyeating.sfgate.com/eating-fat-raise-insulin-7239.html

https://www.sciencedaily.com/releases/2019/08/190813080206.htm

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11892-002-0098-y

https://www.nhs.uk/news/diabetes/higher-diabetes-risk-in-asians-explored/

https://care.diabetesjournals.org/content/36/6/1789

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中