発酵食品は伝統食として日本の食文化を支えてきました。味噌や醤油、納豆やお漬物が昔から愛されてきました。そして1970年から1980年ごろは紅茶キノコが流行り、キムチ、ヨーグルト、サワークラウトも日本の食卓に登場してきました。アメリカでも今やピクルスやヨーグルトに限らず、お味噌、納豆、キムチ、紅茶キノコ、サワークラウトも一般のスーパーでも見られるようになりました。またこのような発酵食品を家庭で作ろうという人たちも多く、沢山のレシピがネットでも見つかりますね。腸の健康に発酵食品は欠かせないという情報を基にそんなに好きではないけれどと思いながらもせっせと摂取している方も多いはずです。しかしその健康食品と言われる発酵食品を食べると痒くなったり、鼻水・鼻詰まり、喘息や頭痛などのようなアレルギー反応を起こす人もいるのではないでしょうか?どうしてこんな症状がでるのか全く見当もつかないと悩んでいるかもしれません。
乳糖不耐症やグルテン不耐症というのを聞いたことがあると思います。乳糖不耐症は乳糖(ラクトース)の消化酵素のラクターゼが消化できないことで、消化不良や下痢などの症状を呈します。グルテン不耐症は小麦に含まれるたんぱく質を消化できない症状です。このような食物不耐症は非アレルギー性食物過敏症とも呼ばれ、特定の食物を体内で消化するのが困難となる症状。もし先に述べたアレルギーのような症状の他に発酵食品を食べた数時間後にガスまたは膨満感、吐き気と嘔吐、下痢、不規則または心拍数の上昇などの症状があるようでしたら、ヒスタミン不耐症かもしれません。ヒスタミン不耐症(Histamine Intolerance – HIT)とは食材に含まれるヒスタミンを腸内や腎臓で分解できなくなっている状態のことです。残念ながら発酵食品を始めとする様々な「健康食品」と言われる食材にはヒスタミンが多く含まれているのです。
おそらくアレルギー症状を和らげるお薬で抗ヒスタミン薬というのを聞いたことがあるかと思いますが、ではヒスタミンとはなんなのか?ヒスタミンは体内の免疫システムが体に危険であると認識した物質を取り除くために作る化学物質です。例えば花粉、ペットのふけ、ほこりなどの無害な物質にアレルギーがあると、免疫システムは誤ってこの物質が体に対する脅威であると認識します。そして免疫システムは白血球の一種でヒスタミンを蓄えている好塩基球や肥満細胞(マスト細胞・顆粒細胞とも呼ばれる)に信号を送り、ヒスタミンや他の化学物質を血流に放出します。ヒスタミンは消化や血圧といった生理機能にまで関わっていることから、その反応は目、鼻、のど、肺、皮膚、心臓、そして消化器系にまで現れます。
そのため、ヒスタミン不耐症の人はさまざまな症状を呈します。機能的医療のクリス・クレッサー医師によると摂取されたヒスタミンを分解する主な酵素であるDAO(ジアミンオキシダーゼ)、また細胞内のヒスタミンを分解するのを助ける酵素HNMT(ヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼ)、がうまく機能していないために体内にヒスタミンが蓄積されてヒスタミン不耐症が起こると言われています。また、彼はマスト細胞活性化障害(Mast Cell Activation Disorder – MCAD)が大きく荷担していると述べています。マスト細胞活性化障害とはマスト細胞が過度に脱顆粒し、過度量のヒスタミンを放出してしまうのです。そしてさらにマスト細胞活性化障害になってしまう理由として、1)MTHFR、HNMTなどの遺伝子変異、2)カンジダ、寄生虫、SIBO(小腸細菌異常増殖)などの腸管感染症、3)重金属毒性、4 )慢性炎症反応症候群(CIRS)が考えられるとクレッサー医師は付け加えています。
なので、まずしなくてはいけない事はどうしてDAOとHNMTが誤動作しているのかその原因を見つけることです。それは遺伝的因子、感染、またカビおよび他の毒性が原因なのか? もちろん、機能的医療の専門医や総合医療の専門医に診てもらうのが一番良いのですが、手ごろな価格の専門医を見つけるのは難しいのが現実です。しかし一般医師に検査をしてもらって、上記の原因を見つけることはできると思います。また、 ヒスタミンのレベルが高い食べ物とヒスタミンを放出する食べ物を摂取しないヒスタミン制限食始めることをお勧めします。グーグルで検索すると制限される食材がまちまちなので、英語ではありますが、Swiss Allergy Centreからのリストが一番詳しく載っているので、PDFを添付しました。また「Food Intolerance(食物不耐症)」というアプリは食品に含まれるヒスタミン、チラミン、サリチル酸塩、ソルビトールそれぞれの数値を表示してくれるのでヒスタミンに限らす食物不耐症やアレルギーがあり食べ物を制限しなくてはいけない人には役立つと思います。ここで注意して頂きたいのは、リストを見ると小麦や乳製品はヒスタミンが少ないまたヒスタミンが含まれていないと記載されていますが、ヒスタミン不耐症の原因を見つけるまでは摂取しない方がいいと思います。
参考文献
https://academic.oup.com/ajcn/article/85/5/1185/4633007″>https://academic.oup.com/ajcn/article/85/5/1185/4633007
https://www.webmd.com/allergies/what-are-histamines#1
https://www.medicalnewstoday.com/articles/322543.php”>https://www.medicalnewstoday.com/articles/322543.php
https://chriskresser.com/could-your-histamine-intolerance-really-be-mast-cell-activation-disorder/
https://itunes.apple.com/us/app/food-intolerances/id419098758
https://healinghistamine.com/