本日から今年はPassover (過ぎ越しの祭り)が始まります。これはエジプトで奴隷になっていたユダヤ人たちが無事にエジプトを脱出した、という歴史を語りつぐための行事です。夫がユダヤ人なので、ゆるいですが、Passoverを毎年行います。儀式的で私にとっては大好きなユダヤ教の行事です。Passoverと言えば「セーダ・プレート」。これは儀式に使う食べ物が専用のお皿にのっています。中身はないかというと、
1) マーロール:苦菜。エジプトで奴隷の境遇に落ちたユダヤ人が流した涙を表すという意味があり、ホースラディッシュ(山葵大根)を使います。
2)カルパス:希望と新しい始まりを象徴する緑の野菜ということで、パセリ、セロリを意味します。
3)ゼアラ:エルサレムの寺院で提供された子羊を象徴し、焼いた子羊の足肉または鶏肉の首を使います。
4)ハローセト:果汁の練り物。奴隷となったユダヤ人が、エジプト王のために作った煉瓦を表し、りんご、ナッツ、シナモンなどを細かく切った混ぜ物を使います。
5)ハゼレト: もう一つの苦菜。ロメインレタスを使います。
6)べイツァ:卵の意味でゆで卵をローストしたものを使います。犠牲となった子羊の奉仕と神殿崩壊の嘆きを表しています。
こんな風に書き出してみると山葵大根、パセリ、子羊肉、りんご、ナッツ、シナモン、卵、ロメインレタスと全て栄養価の高い食材だとおもうのです。食材に意味があり祭りごとの一つと言えば日本のお節料理が思い浮かびます。例えば数の子は卵が多いので、子宝や子孫繁栄を願う縁起物と言われています。そしてその料理の内容といったら豪華な食材ばかりですよね。今ではすでにできあがった物を買う事が多いですが、元々はすべて手作りでした。
セーダプレートもお節料理も古くから存在し、その頃の人達は何が私達にとって良い物なのかよくわかっていたんでしょうね。今ではその時代に作られた栄養満点の肥料(または餌)で育った完全無農薬の食材を使う事は殆ど不可能になってきましたが、この儀式的な食材またはお料理の意味を忘れずになるべく元々の調理方法で作って次の時代に残したいなと思います。