新治療法にご興味ありますか?

幹細胞治療についてのドキュメンタリービデオを今見ているところなのですが、そのシリーズのタイトルは「治癒の奇跡 (Healing Miracle)」。 幹細胞治療があるということは知っていましたが、どのような治療があるかなどはこのビデオをみるまで殆ど知りませんでした。そしてテキサス州のハウスビル810というのもこの「治癒の奇跡」で知りました。共和党の州代表であるドリュー・スプリンガー氏が議会で涙ながらにこの法案について熱く訴えたスピーチは感動的なので、見たことあるような気がするのですが(上記ビデオ)、その後調べたわけでもないので、内容は全く覚えていませんでした。この法案は「チャーリーの法則」とも呼ばれ、がんで死亡した元国家議員のチャーリー・ハワードを称えて、名づけられました。この法案は末期の病気や重度の慢性疾患の患者に実験的な幹細胞治療を許可し、診療所が「実験的」であっても患者にその費用を請求することを許可するというものです。

幹細胞治療について詳しく話す前に、幹細胞って何?という疑問が出てくると思うので、簡単に説明しますね。わたしたちが怪我をした時に怪我した組織を治癒させ、死んでしまった細胞を補ってくれるのが幹細胞です。一種の修復システムとして役立ち、他の細胞を補充するために自分とまったく同じ能力を持った細胞に無制限に分裂することができるんです。幹細胞が分裂すると、各「娘」細胞は、幹細胞のままであるか、筋細胞、赤血球、または脳細胞のような、より特殊な機能を有する別のタイプの細胞になる可能性があります。

現在アメリカでは非常に限られた治療法が承認されています。米国での使用がFDA (米食品医薬品局) 認可されている幹細胞ベースの唯一の製品は、臍帯血由来の造血幹細胞(造血前駆細胞)である。これらの製品は、血液の生成に障害を有する患者において、限定された使用のために承認されている。そして骨髄移植として一般に知られている白血病の治療と、一部の骨、皮膚、角膜の疾患や損傷の治療などのために幹細胞を使用することを認めているということです。なので、その他の幹細胞治療についてはまだまだ初期の実験段階にあるにすぎないという見解なのです。

しかし、実際のところネットで調べると幹細胞治療を提供する診療所は全米で沢山開業しています。多くの診療所は、患者自身の脂肪または骨髄から成体幹細胞を単離し、それらを再注入し、損傷した関節を治癒し、老化した皮膚を若返らせ、神経障害および自己免疫疾患による損傷を修復するなどと謳っています。つい10年前までは「幹細胞ツアー」としてメキシコ、カリブ、また中国に行って治療を受けていた人が多かったが、現在では約600のクリニックなどの施設で「幹細胞による治療行為」を提供すると一般消費者に宣伝しており、そのほとんどは効果や安全性が確認されていない未承認の幹細胞治療を患者に提供しているのです。これは幹細胞治療への需要が非常に高いのに対し、FDAは製薬品のような堅実な政策を確立していないのです。一方日本では、2014年11月より、再生医療等の安全性確保等に関する法律(以下、再生医療法)が施行され、再生医療を実施するには国が定めた基準を満たし、届け出を行わなければならなくなりました。

さて皆さんは幹細胞治療にご興味ありますか? NFL(National Football League)引退後、様々な痛みが現れ、ベットから出れず自殺も考えた元選手が幹細胞治療のおかげて子供と走り回れるようになりました。また高校卒業パーティーの事故で胸から下が麻痺し、腕や手を使うことができなかった青年は幹細胞治療で手を動かす事が可能になり、大学に入学して機械工学を学ぶと意欲満々になったのです。さらに特殊なガンで有効な治療がないと言われたある患者さんは試験的にある幹細胞治療を試み、完治することができました。と、ここに挙げたのは3件の例ですが、幹細胞治療の成功例はまだまだ沢山あります。「治癒の奇跡」にも様々な体験者が喜びと驚きの感動を語っています。

しかし、治療には少なからずリスクはつきもので、この幹細胞治療も例外ではありません。視力が徐々に低下していく加齢黄斑変性症にかかっていた3人の患者に「臨床試験」だと称して、患者自身の腹部の脂肪細胞から作った幹細胞を使った治療を実施。患者は、治療費として一人5000ドル支払ったが、術後1週間以内に網膜剥離や出血などの合併症を起こし、治療前には0.67〜1.0ほどあった視力が、まったく見えなくなってしまった。また66歳のある男性は脳梗塞の後遺症を治すべく、中国、アルゼンチン、メキシコを旅して幹細胞治療を受けたのですが、その後 背中の痛みと両下肢の麻痺、尿失禁を起こすようになり、MRI検査の結果、胸部脊髄に腫瘍が見つかりました。そして組織を採取してDNAも調べたところ 腫瘍は患者の細胞に由来したものではなく、幹細胞治療からのものと発覚しました。さらにある女性は幹細胞注入により「フェイスリフト」を行いました。 しかし3ヶ月後、彼女はまだ痛みがあり、右目がゴロゴロしていることに気付き、別の外科医を訪ねましたが、なんと眼瞼と周囲の組織から幹細胞注入によってできた小さな骨塊を見つかったのです。その他に治療で亡くなられた方も少なくありません。

このように危険性の高い治療もあるのですが、「治癒の奇跡」のビデオをを見たり、ネットで調べたりすると、やはり信頼のある診療所を探したり、臨床試験に参加することは意味があるのではないかと思うようになりました。米国では「A Closer Look At Stem Cells」という国際幹細胞学会(ISSCR)が運営するサイトに幹細胞治療を提供する診療所に対してどのような質問をするべきかのリストが載っていますので、もしご興味があれば参考にしてみてください。そして詳しい治療方法(どのような幹細胞をつかいどのように注入するのかなど)や、考えられる全てのリスクを開示してくれるかなどは必ず確認するべきかと思います。。

自ら実験用のモルモットになって高額の治療費を払ってでも治療を受けたい(これがチャーリーの法則です)と思ってない方は公共機関が行っている臨床試験に参加することも可能ですので、The New York Stem Cell Foundation や California Institute of Regenerative Medicine などを参考にしてみてください。日本では再生医療法の導入により、早期の実用化に対応した承認制度になったので、市販許可はでても、有効性とさらなる安全性を検証を同時にしていくので、自己負担しながらも治験中といった感じです。

私は幹細胞療法には希望がもてると思っています。以前は不治の病と言われた多くの難治性疾患の患者さん、また慢性疾患と衰弱性疾患に罹っている多くの人々のために、明るい光を与えてくれると信じています。 消費者として、適切なアドバイスや治療法を確実に提供しているのか、きちんと調査し、客観的にメリット・デメリットを考慮していく必要があると思います。日本は今再生医療研究では最先端にいます。この研究が私達一般市民に安全で成功率の高い治療をもたらしてくれることを願っています。

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