妊娠と甲状腺

ninpu

高校1年生の身体検査で診察の時にバセドウ病の疑いがありますねと言われ、バセドウ病が何なのかもわからず、母と2人で別の日に病院へ行きました。結局血液検査もすることなく、疑いははれたのですが、同行した母にバセドウ病の疑いが発見され、その後8か月にわたり、月一で血液検査をしました。

バセドウ病は甲状腺刺激ホルモン(TSH)の受容体に対する自己抗体が生じ、過剰に刺激するために甲状腺ホルモンが必要以上に産生され、様々な症状が現れます。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を高めるホルモンであるため、このホルモンの異常高値によって代謝が異常に活発になることで、心身に様々な影響を及ぼすと言われています。

先日「甲状腺の秘密(Thyroid Secret)」というドキュメンタリービデオを見ました。これは9つのビデオシリーズ構成で、医者やヘルスカウンセラーなどが話す患者としての体験話、原因と言われる問題追及や治療法などが含まれています。アメリカだけでなく日本でも多くの人が甲状腺に伴う病気で悩まされています。このドキュメンタリービデオでは患者の症状を聞いても誤診されることがいかに多いのかと驚かされます。そしてこれから子供を作りたいと考えている女性に伝えたいと甲状腺と妊娠に関する部分をまとめてみました。

 

【不妊症】

アメリカでも日本でも35歳以上で妊娠・出産をするいわゆる「高齢出産」は増加しています。そして不妊治療も同様に増加しています。不妊体験をもつセルフ・サポートグループとして、2004年に任意団体として設立された「Fine」というウェブサイトによると日本で不妊症に悩むカップルは5.5組に1組といわれ、何らかの不妊治療を受けている人は50万人近いと推測されています。アメリカでは約690万人の女性(14歳から44歳)が何らかの不妊治療を受けているというCDC(疾病管理センター)の調査結果が出ています。不妊の原因は様々ですが、甲状腺が原因というのも見逃せない一つです。

アメリカ妊娠協会によると不妊治療クリニックで検査する血液検査はFSH(卵胞を発育させる卵巣刺激ホルモン)、LH(排卵の引きがねとなる黄体化ホルモン)、 E2(エストラジオール)、PRL(プロラクチン)、 総テストステロン、 遊離テストステロン、 DHEAS、 アンドロステンジオンとあります。他のクリニックではAMH(前胞状卵胞を調べる抗ミューラー管ホルモン)、P4(プロゲステロン)、 17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、サイロキシン(T4)TSH(甲状腺刺激ホルモン)遊離T3なども検査してくれるようです。日本の不妊治療クリニックのサイトを調べますと、FSH、LH、 E2、PRL、AMH、P4、TSHが一般的なようです。太字で書いてあるのが甲状腺のテストです。

あなたの健康な妊娠と甲状腺疾患(Your Healthy Pregnancy with Thyroid Disease)の本を出版した, ダナ・トレンティーニさんは妊娠中のTSHのレベルが10近くあったのに、ニューヨークの信頼される産婦人科医はその数字を気にかけず、流産してしまったと嘆いていました。また同本の共著者であるメアリー・ショモンさんは今までに2千人以上の不妊に悩む女性をコンサルティングしてきました。そしてその多くが 「医者に言われてすべての血液検査を受けてきたのに、誰も甲状腺に関連するものは全く調べなかった」と悔やんでいると話してくれました。なので多くの不妊治療クリニックでは甲状腺の全テストをすることなく(上記の太字のテストは一部のテストです)、何度もIVF(体外受精)やIUI(子宮内授精)を繰り返し、身体に負担をかけさせて、妊娠できない女性が多いとショモンさんは語っています。

 

【産後】

お産後、体調が中々すぐれないという話を聞きますね。子宮の収縮やホルモンの分泌など、出産を終えた身体は妊娠前の状態に戻ろうとするため、さまざまな変化を遂げますので、産後のうつ病やその他の体調不良は一般的であるとみられています。しかし、甲状腺ホルモンも不安定な状態になっている可能性があります。

キャロリン・ボーヒルグさんは橋本病(「自己免疫」の異常が原因で起きる「慢性甲状腺炎」)と最終的に診断されましたが、始めは不安症、心臓の動悸、手の振戦、体重減少、関節痛  という甲状腺機能亢進症の症状がお産をしてから始まりました。彼女はその後2年にわたり100人もの様々な専門家、鍼士、カイロプラクティック医師、専門ケア医師などに会いました。しかしどの専門家も橋本病と見分ける抗体検査はせず、普通の甲状腺ホルモンの検査のみ行いその数値が正常だったので、ボーヒルクさんを悩ませている症状は心身症であり、不安症から引き起こされていると判断されてしまったのです。

ホリスティック・ヘルスカウンセラーのデビー・ステインボックさんもこのシリーズで橋本甲状腺炎の経験を語ってくれました。娘さんを産んで最初の数週間は忙殺状態で、彼女は何かが違っていると感じていました。産後3週間目の検査でTSHを調べたところ、1.12という正常値でした。しかしその後の3ヶ月は抜け毛が異常にひどく、活力は全くなく、そして疲労困憊なのに夜寝ることもできなかったそうです。

 

【子供】

総合医師のエレナ・コールズさんは「統計によると、橋本病を持つ母親から産まれた子供が自閉症児になるというリスクが80%あると言われています。」とショッキングな発言をしています。

「妊娠中の母親の甲状腺ホルモンは、その子どもの発達、特に脳の発達にとって明らかに重要です。。。母親の甲状腺機能は、誕生後に子供の甲状腺機能の状態を設定するからです。」と自らダウン症の子供を持ち、障害を持つ児童の治療をするエリカ・ピルソン医師は説明する。ピルソン医師の患者の一人は出産時に産まれた子供のTSHが33あり、その後その子は自閉症になってしまいました。のちに同じ患者さんは2人目を産み、その子はTSHが誕生後35だったのですが、すぐに甲状腺治療をしたので、自閉症にはならなかったそうです。

産まれた赤ちゃんは通常母体に入っていた時のように手足を丸めていますが、甲状腺の病気を持つ赤ちゃんは手足がだらんとしていて、舌が大きくて口からよく舌を出していたり、母乳の飲みが悪かったり、長い時間寝ていたり、黄疸という目が黄色くなる症状が長引く、母乳の飲みが悪い、臍(さい)ヘルニアなどの症状があるとピルソン医師は話していました。

このドキュメンタリービデオのホストであるイザベラ・ウェンツさんは薬学博士であり自ら橋本病を経験し、「橋本病の根本的原因(Hashimoto’s The Root Cause)」というベストセラーの本も出版しています。彼女がピルソン医師にダウン症と甲状腺の病気との関係について尋ねたところ、「詳しい研究結果は出ていませんが、私の経験から私の意見としていうと、 ダウン症候群を持つすべての小児は甲状腺機能低下症を持っています。ダウン症候群の症状として、大きな垂れた舌、発育の遅れ、認知の遅れ、認知障害、乾燥肌、お腹の膨満、便秘、弱い筋緊張、短い指などすべての1つ1つの症状に至るまで甲状腺機能低下症の症状と同じなのです。」

ウェンツさんはこのエピソードの終わりに神経心理薬理学および生物精神医学の進歩という医学雑誌(the journal Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry)に載った2015の研究で自閉症の確率は、妊娠中に甲状腺抗体陽性とでた母親の子孫の間で約80%増加したと発表していると付け加えました。

このように甲状腺が自分たちの体だけでなく、これから産まれてくるだろう新しい家族にとっても本当に大切な機能であるとわかって頂けたでしょうか?

 

【予防】

もし妊娠を考えているようでしたら、まず包括的な甲状腺テストを行うことをウェンツさんは勧めています。一般的なTSHだけでなく、総サイロキシン(Total T4), 総トリヨードサイロニン(Total T3), 遊離サイロキシン(Free T4)、遊離トリヨードサイロニン(Free T3)、甲状腺ペルオキシダーゼ抗体 (TPO Antibodies) そして、 サイログロブリン抗体(TG Antibodies)です。 そしてもし甲状腺の病気が見つかったら、すぐに治療をすることも勧めています。診断によっては処方箋が必要かもしれませんが、生活習慣や、食生活を変えることでも炎症を抑えることができます。橋本甲状腺炎を産後に経験された自然療法医師のジョリーン・ブライトンさんは、ビタミンDの数字が低ければビタミンDサプリメントの摂取、また甲状腺ペルオキシダーゼ抗体が受胎前または妊娠第一期中に発見された場合はセレニアムを200ミリグラム摂取することを勧めています。さらにDHAは胎児の脳発達のために、そしてEPAは炎症を減らす為にEPAとDHAの脂肪酸を必ず取るようにと加えています。

エレナ・コールズ医師は毒素のないきれいな母体を作るためにパーソナルケア製品やお掃除製品を変えるように、そしてカビ、プラスチック、アルミ、などを生活環境からなるべく取り除くようにと話しています。奥歯の虫歯治療で銀色のアマルガムの詰め物がないかも確認し、あるようだったら、すぐに専門医で摘出するようにとのことです。アマルガムには水銀が含まれているので、様々な病気を引き起こします。消化不良、大腸炎、胸やけなど腸やその他の消化器系になんらかの問題があるようであれば症状の引き金になるものは何か(遅延型フードアレルギーを引き起こす抗体(IgG抗体)テストなど)検査し、胎児に問題が起きないように治療すること強く主張していました。胎児にはまだ免疫もなく、消化酵素もなく、腸の良い微生物叢もないのですから、母体の消化器系に問題を起こすものに対して胎児の体はまだ戦うことはできないのです。

ベストセラーとなった”The Whole Journey Food as Medicine Cookbook”の著者であるホリスティック・ヘルスカウンセラーのクリスタ・オレキオさんは産後の回復に自分の胎盤のプラセンタカプセル摂取を勧めています。特に35歳以上の方に。プラセンタはホルモンバランスを整え、産後ブルーなど産後の体調不良をなくし回復を助けてくれると話しています。ダナ・トレンティーニさんは産後髪の毛が沢山抜けてフェリチン(貯蔵鉄と結合しているたんぱく質)が低いことがわかりました。フェリチンの数字は80が理想だそうで、髪の毛が異常に抜けるようであればフェリチンの数値を調べることを勧めています。またマグネシウム、B12、亜鉛が足りているのか気を付けるようにと話しています。

illusut_01

【最後に】

イザベラ・ヴェンツ薬学博士は私たちの内在的な知恵について次のように述べています。 「なにがあなたの体を傷つけ、なにが必要なのかを判断する知恵をあなたの体はちゃんと持っているのです。体が教えてくれる勘や直感を感じ取り、信じることが回復への道を見つける上で最も貴重なステップなのです。妊娠中は自分自身に耳を傾け、誰もが「どこも悪くない」と言ったとしても身体が感じ取るメッセージを信じ、身体の波長を合わせることを忘れないでください。」

もし掛かりつけのお医者さんでは判明できない症状があるようでしたら、自然療法医師や機能療法医師などを探すことをお勧めします。彼らは症状を抑えるのではなく、原因を探してくれます。もちろん、食生活や生活習慣改善でしたら、私もお手伝いできますので、ご連絡くださいね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中