遺伝だから。。。

twins私のブログ、ニュースレター、またセミナーには「遺伝子発現 (Gene Expression)」という言葉がよくでてきます。しかし、あまり耳慣れしない言葉だから、ちゃんと説明した方がいいと勧められたので、2016年の締めくくりとして今回はなるべくわかりやすくお話ししたいと思います。

私たちはよく「遺伝だから」という言葉を耳にしますが、実際のところ遺伝からくる病気はそんなに多くないのです。ルドルフ・タンジ博士とディーパック・チョプラが書いた「スーパー遺伝子」の本によると遺伝からくる疾患関連は全体のわずか5%であり、95%は環境的要因からくるものなのです。これはどういうことかというと、ロミオとジュリエットのお話しを例にとって考えてみましょう。このお話はシェイクスピアが書いたもので、その物語は映画や舞台で様々な人が制作していますね。この原作が遺伝子で、俳優、監督、衣装、舞台装置、制作スタッフなど、制作にかかわる物、人全てが環境的(外的)要因だと思ってください。この原作はとっても素晴らしいものですが、どんな俳優や衣装使われ、どこの制作会社がそしてどの監督がどのようにプロデュースするかによってこの映画やお芝居の出来上がりは最悪のものであったり、または最高に感動的なものであったりと、外的要因で変わってきますね。つまり発現、現れてくるものが変わってくるということです。これと同じことが遺伝子レベルで起こっています。一卵性双生児は全く同じDNAを持ち、同じ性別、同じ歳であり、また母親の妊娠前と妊娠後の環境も同じですが、その子達が成長するにつれ、外的要因が加わり見た目も、かかる病気も異なってきます。

ちょっと専門的に話すと、DNAはA(アデニン)T(チミン)C(シトシン)G(グアニン)の塩基が連なっていて、その配列によって遺伝子が決定され、アミノ酸を指定して、どんなタンパク質をつくるかが決まります。そしてヒトをはじめとする生物のすべての細胞はすべて同じDNA(塩基配列)を持っていますが、皮膚の細胞と肝臓の細胞がちがうのはどの遺伝子が働くかによって個々の細胞の性質が決定されます。どの遺伝子が働くか(オン)また働かないか(オフ)の役割決定にはDNAの後天的に働く化学修飾(メチル化、ヒストン修飾など)などが重要な役割を果たしていると言われています。

この後天的に働く化学修飾が遺伝子発現、そしてエピジェネティクスと呼ばれています。化学修飾は毎日の私たちの生活習慣、例えば食事、運動、公害、薬物、ストレスなどによって大きく影響されてくるのです。つまり先天的に同じ遺伝子情報をもっていたとしても、後天的な環境因子で遺伝子発現が修飾され、個体レベルの形質が異なってくるので、リスクのある遺伝子配列を有する人であっても、自分の生きている環境を変えることで遺伝子情報も変えられるということなのです。

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私たちは腫瘍抑制遺伝子をみなもっています。この腫瘍抑制遺伝子はガンを退治することができます。しかし退治することができなくなるのは外的環境要因が腫瘍抑制遺伝子を「オフ」にさせてしまうからなのです。生活習慣そして環境を変えれば腫瘍抑制遺伝子を「オン」にさせガンにならない体を作れるのです。さらに素晴らしいことに遺伝子発現を変えることによって子孫にまでその遺伝子情報は受け継がれるのです。これはアグーチネズミという黄色の毛で肥満体の遺伝子をもつ妊娠した母ネズミに正常な食事療法を取り入れた実験で証明されます。アグーチネズミは糖尿病とガンになりやすい体質をもっていますが、メチル化を助ける栄養素(ビタミンB12、葉酸、ベタイン、コリン)を与えられた母ネズミは茶色の細い子を出産し、ガン、糖尿体質ということを打ち消しました。それは孫、ひ孫まで続いています。

遺伝子発現に影響するものは身体に入ってくるもの、それは口からだけでなく、皮膚、耳、目から入ってくるすべてが含まれます。そして精神的影響、どれだけ体を動かしているかなども遺伝子発現を変えていきます。なので、常にホリスティックなアプローチ、つまり総合的な健康管理が自分たちの健康+幸せにつながり、そして私たちの子孫にまで繋がっていきます。

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