どの脂質状態の数値が大切なのか?

心臓病

前回のニュースレターではコレステロールの高い食品、卵、海老、またバターなどを摂取しても心臓病には直接関係がないというお話をしました。しかし、今でも心臓病はアメリカだけでなく世界的にみても1番の死因とされています。ということはやはり食生活またなんらかの生活習慣が関係しているということになります。米国の国立衛生研究所によると虚血性心疾患(心臓病)は内皮細胞および(心臓)動脈の内膜の損傷から始まります。虚血性心疾患は、心臓を動かしている筋肉(心筋)に血液がいかなくなるという意味です。冠状動脈という血管が狭まって血液が心臓に十分に行かないか、あるいは途絶える状態が虚血性心疾患です。心筋に血液が送られないと酸素や栄養素が行かないため、細胞は壊死してしまいます。ときには急激に心臓の機能が低下し、命に関ります。脳にコレステロールなどの脂肪沈着がたまればアテローム血栓性塞栓になるのと同様に、心臓の冠状動脈に動脈硬化が起これば虚血性心疾患になると言われています。

そして多くの人が動脈硬化の予防には動物性脂肪の多い食事を控えたり、スタティンなどの薬で血中のコレステロール値を減らすことが重要と考えてらっしゃると思いますが、前回のニュースレターでも書いた通り、心臓発作で入院した患者の50%が正常なコレステロール値であり、また早発性心疾患になった25%の患者は心臓病に関するリスクがまったくなかったというデータがあります。なので、高コレステロール値であることが心臓病へとつながるとはいえないということになりますね。

もちろんLDLコレステロール値(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール値(善玉コレステロール)、そして中性脂肪値などの脂質値も健康状態を知る重要な数値ではありますが、心臓病予防にとってもっとも重要といわれている数値は酸化LDLコレステロールと言われています。読者のみなさんは酸化と聞いてすぐに「あっ、錆び付いているんだ!」と思われたと思いますが、その通りなんです。体の中では活性酸素によって細胞が攻撃され、細胞膜の脂質が酸化して、細胞が栄養と老廃物の出し入れをスムーズにできなくなり、老朽化します。また、細胞の核の遺伝子が傷つけられて、細胞が変異したり、死滅したりします。そしてこの酸化LDLコレステロールを調べていくと糖化(glycation:グリケーション)されたLDLが酸化されやすいということが判明しました。血液中には空腹時でもおよそ80〜100mg/dL(100mlの血液中に80〜100mg)のブドウ糖が含まれ、血糖と呼ばれます。この血糖がたんぱく質または脂質と反応することを糖化といいます。そして糖化されるということは血管壁に漂着しやすくなり、一度糖化したLDLはLDL受容体(主に肝臓に発現されているコレステロールの数値を調整する)に結合できなくなり、血液中に流れている単球や血管壁にあるマクロファージに存在するスカベンジャー受容体に結合してしまいます。またLDLでも粒子径サイズが小さく、比重の重いsmall dense LDLの方が粒子径サイズが大きく比重の軽いLDLより糖化しやすいと言われています。なのでLDLの粒子径サイズを知ることが重要なポイントと言えます。

2015.5.12.13

血糖値が高いということはコレステロール糖化が発生しやすくなるということから糖尿病の人は心臓病になるリスクが高いということがよくわかりますね。ですが、糖尿病でない人でもある食生活によって心臓病になるリスクが高まることが小児病院オークランド研究所でアテローム性動脈硬化症研究のディレクターを努めるロン・クラウス医学博士の研究で発見されました。それは炭水化物の量を増やし、脂質を減らした食生活をしているとこのLDL粒子径サイズが大きく比重の軽いものから、糖化しやすいサイズの小さい比重の重いものへ移行していくというのです。さらに別の研究では3万1千人のアメリカ人を対象とし15年間調べた結果、1日の摂取エネルギーの内、糖質の量が25%多いグループが心臓病で亡くなる率が糖質量が少ないグループより非常に高いという結果もでています。これはちょっと衝撃的ですよね。心臓病予防には脂質を減らすよりも炭水化物を減らすことの方が効果的ということになります。

もし、家系的に心臓病になる確率が高いようでしたら、すぐに食事と生活習慣を見直し、改善していくことが必要です。また通常の血液検査では不十分ですので、下記のより詳しい検査をうけることをお勧めします。

下記の3つはLDLの粒子径サイズを調べることができます。
1. LDL-S3 GGE test
2. The VAP test
3. NMR lipoprofile test

さらに酸化LDL値も重要な数値ですので、必ず検査してください。アリゾナ州スコッツデール心臓研究所の創設者であり、自然療法心臓内科医のデッカー・ワイス氏は酸化LDLについて以下のように述べています。「お腹まわりの脂肪が増え、中性脂肪が高く、善玉コレステロールが低く、高血糖、そして高血圧のような従来の危険因子が数字に表れているようだったらLDLの酸化はすでに進行しています。そして酸化LDLは中性脂肪および堆積脂肪の量を増加させ、脂肪組織がLDLの酸化を強化するという破壊的なサイクルを形成されてしまうのです。」そして酸化LDL値が高い患者さんにはまず品質の高いリコピンを含んだ抗酸化サプリメントを摂取してもらうそうです。糖質の少ない健康的な食生活、運動、ストレスを減らし、タバコをやめるなどの食事および生活習慣の改善はもちろん重要であるが、抗酸化サプリメントの摂取はより早く(約90日)でこの酸化LDLが改善できるとワイス医師はのべます。

心臓病の症状が現れる前に、自分の脂質状態が健康なのかそうでないのか、明確にしておくことが必要ですね。そして健康的な心臓の為に高品質の抗酸化サプリメントを取り、炭水化物および糖質の摂取を停止または減少させることは今すぐに始めるべきですね!

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