全く耳の痛い話ですが、抗酸化が高い食べ物として注目を浴びている甘くて美味しいチョコレートはミネラル摂取に障害をもたらすのです。
ミネラルはカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などがありますが、これらは体の機能の維持や調節に欠かせない微量栄養素です。ビタミンとの違いはビタミンが元素から作られる有機化合物であるのに対し、ミネラルは元素そのものです。元素はあらゆるものをつくる基本の単位です。人の体も体重の95%は酸素、炭素、水素、窒素の4元素からできています。残りの5%は体に必須の微量元素で、これを栄養学ではミネラルまたは無機質と読んでいます。ミネラルを摂取するうえで、大切になってくるのはそれらの「吸収率」です。というのは、たとえ栄養素に富んだ食品を口にしたとしても、体内で吸収されなければ有用な生理作用を示しようがなく、最終的には排泄物として体外へ排出されてしまうからです。
ビタミンやミネラルの吸収を左右する要素は非常に多いと言われています。例えば、年齢、胃や腸管に おける消化の状態や腎機能の状態、精神的な状態、遺伝的なもの、そして拮抗作用など、またそれ以外のものも含めると吸収率には個人差が大きいと思われています。
さらに、食品に含まれる栄養素の含有量の問題もあります。つまり食品の鮮度や地域性(どこで収穫されたか)によっても、同じ食材でも含有量は異なって きますし、さらに食材の精製状態や調理の際などの加工を通じて、栄養素は失われていくことにも留意しておくことが大切です。
で話を元にもどしますね。チョコレートがどうしてよくないのかというと、ミネラルの中でも特に不足しがちな栄養素でカルシウムと鉄の吸収を妨げるからです。チョコレートのカカオに含まれるシュウ酸はカルシウムや鉄と結合してしまい、体への吸収率を低下させてしまいます。シュウ酸はアカザ科の植物に多く(ほうれん草)、鉄やカルシウムと結合しやすい。 コマツナなどアブラナ科の野菜にはほとんど含まれません。だからカカオだけで調べると鉄分の多い食べ物とされていますが、実際は吸収されない可能性大なのです。実際に、マヨクリニックのウェブサイトで栄養士のKatherine Zeratskyさんはある研究ではチョコレートを多く食べている高齢者のほうがあまり食べていない人より骨密度が低いと発表されていると書いています。
シュウ酸のほかに豆類、穀類に含まれるフィチン酸(穀物の皮に含まれる)もカルシウムと鉄分の吸収を低下させます。またリンが多すぎると、腸内にリン酸カルシウムが出来て、吸収されずに体外に排出され、カルシウムの吸収率が下がってしまいます。スナック菓子やインスタント食品、冷凍食品などの加工食品には、リン酸塩として多く含まれているので、要注意です。体内のカルシウムは、たんぱく質の量が増え過ぎると尿の中に排せつされてしまいます。また、マグネシウムが不足するとカルシウムの利用に障害が出るといわれています。さらにコーヒー、緑茶、紅茶に含まれるタンニンが鉄分吸収を邪魔します。タンニンは鉄と結合し、水に溶けにくい鉄を作って吸収を悪くします。なのでもし飲む場合は食事の前後30分から1時間空けるのがベスト。