体に必要なビタミンやミネラルは基本的に食べ物からとるべきだと私も信じています。現に理論的にはバランスのよい食事をしていればサプリメントを飲む必要はないと米国農務省は述べています。それはどういう食事かというと、例えば1日1800カロリーの食事をするとしたら1.5カップの果物、2.5カップの野菜、6オンス(170グラム)の穀物、5オンス(142グラム)の肉、魚や豆類などのたんぱく質、3カップの低脂肪/ゼロ脂肪のヨーグルト、そして24グラムのオイルを食べればよいと言われています(1)。しかしアメリカ版の食事をしていると断然肉類のたんぱく質や穀物類を多く取り、野菜や果物が少ないというのが現状です。日本でも外食が多い人は同じような結果になっていると思います。しかし、このUSDAが勧めているような食事をとっている人も多いと思います。しかし現状はほとんど人が健康ではありません。
今は多くの人が亜臨床的また半病人のような症状に悩まされています。たとえば神経質になりすぎる・緊張し過ぎになる、倦怠感がある、よく風邪を引く、なんらかの感染症がなかなか治らない、また何度もかかってしまう、体に痛みがある、集中力が低下する、神経過敏である、気持ちが落ち込む、筋肉が衰える、疲労感が常にある、眠れない、またなんとなく気分がすぐれないなど (2)。何故このような症状がでるのでしょうか? それは十分な栄養分が取れていないからです。では何故米国農務省が推薦する食事を心がけても十分な栄養がとれないのでしょうか? それは野菜、果物、そして肉類などの栄養分が50年前に比べて10%から50%減っているからです(3)。では何故そんなに栄養分が減ってしまったのでしょうか? それは近代的な大量生産の農業は、土壌に栄養をあたえず、反対に土壌の栄養分を使い果たしています。合成肥料の投入は美しくて形のよい植物の成長を促進してくれますが、中身の栄養分は不足してしまうのです(2)。
さらに殆どの農産物は完熟するまえの早い時期に収穫されてしまうので、太陽にあたって作られる栄養素、例えばアントシアニンなどは作られないままになってしまいます(3)。ではオーガニックの食物はどうなのでしょうか?ABCオーストラリア放送局によると英国の研究ではオーガニックとオーガニックでない食物(植物性および動物性)の間では栄養量の違いはないと発表されています(4)。また世界中で年間50万トンの食物が微生物、細菌、ウイルス、または昆虫を破壊するために放射線照射を受けています。そしてもっとも重要なのはこのような状況から微量栄養素である植生化学物質が全くとれないということです。私達に馴染みのある植生化学物質はトマトに含まれるライコピン、大豆に含まれるイソフラボン、果物に含まれるフラボノイドなどがあります。これらはすべて健康な体に欠かせない抗酸化物質なのです(5)。
なのでたとえ通常の「栄養バランスのとれた食事」をしていても十分な栄養がとれていない可能性が高いのです。50年前と同じやり方でまた同じ土壌で農作物を栽培したり、家畜を育てない限り、必須栄養分の少ない、または植生科学物質の全く無い食べ物を食べていることになるのです。怖いことに栄養分が少ないだけでなく、農薬のたっぷり入った、遺伝子組み換えの、環境汚染された食物を食べているのが現状なのです。
サプリメントはその名の通りあくまでも栄養補助食品です。食事の代わりにはなりません。しかし、品質の良い標準化された薬品並みのサプリメントを摂取することは通常の食事療法に必要な栄養素の標準量を取り入れられる1つの方法です。それに薬品並みのサプリメントは体にちゃんと働くのです。カルシウムのサプリメントだけでも年間に約10万人以上の人が病院に入院せずにすみ10億ドルの医療費が浮くことになると言われています。カルシウムは野菜から殆どとれなくなったミネラルの1つです。マグネシウムも長く摂取していれば女性の直腸がんや腸がんの発症数も半分に減るであろうと言われ、また1950年より38%も減ったリボフラビンも白内障を防ぐと言われているのです(3)。
(1) “Getting your vitamins and minerals from your diet” by Harvard Medical School
(2) ” Why we need nutritional supplements for the rest of our lives”
(3) ” Evidence: Why we need supplements” by Terri Mitchell
(4) ” Does organic food contain more nutrients than non-organic food?” ABC net Australia
(5) “Taste, nutrients, decline as size of crops grows” by Andrew Schneider